福利厚生制度とは? 制度を理解し活用しよう

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福利厚生とは従業員が暮らしやすく、働きやすくなることを目的としたサービスです。

会社員にはさまざまな福利厚生が提供されているものの、どのような福利厚生が実際に提供されているのか把握していない人も少なくないでしょう。あるいは、福利厚生という言葉を聞いたことがあっても、この制度について具体的に理解できていない人も多くいるかもしれません。

そこで本記事では、福利厚生とは何か簡単に説明した上で、福利厚生の種類や活用方法について説明します。

目次

  • 1.福利厚生制度とは?
    1. 福利厚生は企業で働く全ての従業員が対象
  • 2.福利厚生にはどのような種類があるのか
    1. 法定福利厚生
    2. 法定外福利厚生
  • 3.福利厚生制度の利用方法と効果
    1. 住宅関連
    2. 通勤関係
    3. 健康関係
    4. 育児や介護関係
    5. 自己啓発関係
  • 4.まとめ
  • 福利厚生制度とは?

    福利厚生とは企業が自社で働く従業員に対して提供する、給料や賞与を除いたサービス全般です。福利厚生には従業員本人だけでなく、家族が対象になるサービスも多く含まれています。例えば、提携施設などは本人だけでなく、家族も利用できるケースが少なくありません。

    福利厚生には法律で導入が義務付けられているもの以外にも、企業独自で導入された福利厚生もあります。特に、ベンチャー企業の中にはオリジナリティー溢れる福利厚生や、若手社員のニーズを汲み取った、ユーモアのある福利厚生を導入する企業も珍しくないでしょう。

    福利厚生は企業にとって人材の定着や採用活動にも関係します。魅力的な福利厚生を充実させている企業は従業員が定着し、多くの求職者が応募する傾向にあります。

    福利厚生は企業で働く全ての従業員が対象

    これまでは、非正規雇用やパートで働く従業員よりも、正社員の方が手厚い福利厚生を受けられるケースも多々ありました。しかし近年では、福利厚生の対象、及び適用範囲を広げようという流れから正規雇用労働者のみならず、全ての労働者が対等に利用できるようにしようという動きがあります。

    2020年4月1日にはパートタイム・有期雇用労働法が施行されました。これにより、正規雇用労働者とパートタイム労働者、有期雇用労働者の待遇格差が禁じられました。今後ますます、正社員と非正社員の間で待遇を公平にしようという動きは広がるでしょう。

    福利厚生にはどのような種類があるのか

    福利厚生は以下の2種類に分類できます。

    ・法定福利厚生
    ・法定外福利厚生

    法定福利厚生とは法律で定められている福利厚生で、企業が従業員に対して必ず提供しなければなりません。一方、法定外福利厚生は導入するか否かは企業の判断に委ねられています。

    以下、法定福利厚生と法廷外福利厚生について確認していきましょう。

    法定福利厚生

    法定福利厚生とは、法律によって定められている福利厚生です。

    法定福利厚生は大きく分けて、以下の2種類の保険で成り立っています。

    ■社会保険
    ■労働保険

    それぞれについて細かく解説します。

    ■社会保険
    社会保険とは、病気やケガ、老後の資金不足などといった生活におけるリスクに備えるための公的保険制度のことです。社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、こども・子育て拠出金の4種類があります。

    ・健康保険
    健康保険とは、被保険者が業務外の事由による疾病や負傷、死亡または出産で給付できる制度です。

    また、被保険者のみならず、その被扶養者の疾病や負傷、死亡または出産についても保険給付の対象となります。

    ・厚生年金保険
    厚生年金保険は、従業員や公務員が加入する公的な年金制度です。会社ごとに加入する保険で、株式会社などの法人の事業所や5人以上を雇っている個人の事業所などは加入の義務があります。

    厚生年金保険の加入者は国民年金保険にプラスした保険料が毎月の給料から引かれますが、年金を上乗せして受給できます。

    ・介護保険
    加齢に伴う疾病などにより介護が必要になった場合に支払われる保険です。従業員が40歳以上65歳未満の場合に健康保険料とあわせて徴収されます。

    ・こども・子育て拠出金
    児童手当や児童育成事業を行う財源として、会社は全額負担しなければなりません。

    ■労働保険
    労働保険とは、労災保険と雇用保険を合わせたものの総称です。労働者の生活を保護し、雇用安定を図る目的で給付されます。

    ・労災保険
    労災保険制度は労働者の業務中、もしくは通勤中の労働者が傷病等を受けた際に保険給付する制度です。

    あわせて、被災した労働者の社会復帰促進等の事業にも活用されます。

    ・雇用保険
    雇用保険は労働者の失業などに必要な給付を行う制度です。

    労働者の生活や雇用の安定、求職活動を容易にするとともに、労働者の職業の安定を目指します。

    法定外福利厚生

    法定外福利厚生には以下があります。

    ・住宅手当
    住宅費の一部、もしくは全額補助の他、世帯用住宅や単身用住宅が提供されます。

    ・医療、及び保健
    病院や医務室を利用した際にかかる費用の補助、健康保険組合への補助金などが一般的です。

    ・生活援助
    社食、ランチ費用の一部補助、託児所施設の利用、被服の貸与などがあります。

    ・慶弔、共済、保険
    保険、慶弔金、共済金が一般的です。

    ・レクリエーション、文化、体育
    レクリエーション費用の補助、施設の貸与などがあります。

    ・退職金
    退職年金、退職一時金などが一般的です。

    ・安全衛生
    安全衛生保護具、安全衛生行事、健康診断などがあります。

    ・その他
    通勤手当、通勤費、財産形成などがあります。

    福利厚生制度の利用方法と効果

    福利厚生制度を上手に活用することで、生活に余裕が出たり、働きやすくなったりするはずです。しかし、福利厚生が整った企業に勤めているにも関わらず、福利厚生の内容を知らないあまりに活用できていない人も少なからずいます。

    以下、福利厚生の活用方法について説明します。

    住宅関連

    多くの企業が住宅関係の福利厚生を用意しています。一人暮らしの社員に対して社員寮を提供している企業や、家賃補助を支給している企業も多いです。また、一軒家を貸与している企業もあります。

    住宅関連の福利厚生を活用することで、家賃を大幅に抑えられるはずです。

    通勤関係

    通勤のための交通費の負担が重いと悩む人も多くいます。通勤定期を購入したとしても、月に数万円程度の負担になっている人もいるでしょう。

    通勤費や通勤手当などを活用すれば、交通費にかかる金額を月々節約できます。

    企業によって異なりますが、常識的な範囲内であれば、通勤費を全額負担してくれる企業は多いと見受けられます。

    健康関係

    健康診断にかかる費用を負担してくれる企業もあります。従業員の健康は本人だけでなく、会社にとっても重要です。

    また、提携カウンセラーを利用できる企業や、スポーツジムを優待価格で利用できる企業などもあります。通院だけではなく、メンタルの安定や適度な運動は業務でベストパフォーマンスを発揮する上でも重要です。

    育児や介護関係

    社員が育児や介護をしながら働けるよう、企業は独自の取り組みを行っています。例えば、時短勤務制や介護、及び育児にかかる費用の補助などがあります。

    また、社内にベビールームや託児所を設ける企業も増加傾向です。

    自己啓発関係

    業務に関係する資格やスキルアップのための資格を取得するにあたり、試験費用やテキスト代の一部、もしくは全額を負担してくれる企業もあります。

    会社が資格取得にかかる費用を負担してくれることで、従業員はモチベーションがアップすると期待できます。

    また、金銭的に余裕がない人にとって自己啓発関係の費用を企業が負担してくれることにより、挑戦のハードルが下がるでしょう。

    社員のスキル向上は企業のボトムアップにもなり、企業の長期に及ぶ安定的経営にも結びつきます。

    まとめ

    本記事で解説したように、福利厚生は社員の生活の質向上や、モチベーションアップのためにも重要な制度です。応募者の中には給与や働きやすさだけでなく、福利厚生の内容についても判断基準とする人が多くいます。

    企業が導入する福利厚生には法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類に分けられます。法定福利厚生は企業で働く全ての人たちに定められた権利です。対して、法定外福利厚生は企業によって内容が異なります。

    法定外福利厚生として、退職金や社食などはよく知られる福利厚生ですが、失恋休暇や誕生日休暇などを導入し、人気を集めている企業もあります。

    福利厚生を上手に活用し、生活の質の向上を目指しましょう。