転職で健康診断書が必要になったら?検診の項目や受け方を解説
コンサルタントブログ
最終選考の前や内定が出た後などで、会社から健康診断書の提出を求められて驚いた経験がある人もいるはずです。また、「健康診断書の内容が採否に影響するの?」「健康診断書の提出を求めてくる企業はあまりないのでは?」という疑問を抱えている人も多くいると見受けられます。
そこで本記事では、転職活動において健康診断書の提出が求められる理由について解説します。あわせて、健康診断の費用や項目などについても説明します。
目次
- 1.なぜ健康診断書が必要なのか
- 2.健康診断の受け方
- 3.健康診断の費用
- 4.健康診断における11の項目
- 5.採用時における健康診断書の提出でよくある疑問3選
- 6.まとめ
なぜ健康診断書が必要なのか
企業は転職を希望する応募者に対して、健康診断書の提出をなぜ求めてくるのでしょうか。
以下、企業が転職希望者に健康診断書の提出を求める理由を解説します。
法律上の義務
事業者は労働者の健康状態に配慮しなければなりません。
「労働安全衛生規則」の第43条により、事業者は常時使用する労働者を対象に健康診断を行うことが義務付けられています。社員には健康診断が年に一度実施されますが、転職者には「雇い入れ時健康診断」といって健康診断結果の提出が必要になります。
健康状態の確認
企業はこれから雇い入れる労働者の健康状態を知っておく必要があります。応募者が健康なのか、それとも治療が必要な病を抱えているのかは、これからともに働く従業員の健康を守るために必要なことです。
また、体調不良の社員には配属部署や勤務時間など、配慮が必要になることもあると考えられます。
健康診断を受ける時期
健康診断は最終面接の前後から入社前までに受けることが一般的です。ただし、企業によっては入社の直後までに受ければ良いとされていることもあります。
健康診断を受けることに対し負担を感じる人もいますが、入社時に健康診断書を提出することは法的にも定められています。そのため、面倒くさがらずに転職活動の一貫して捉え、指定されている項目について健康診断を期日までに受けるようにしましょう。
健康診断書の提出が遅れた場合、会社に迷惑をかけるだけでなく、採否に影響が出ることもありえます。
健康診断の受け方
会社から健康診断書の提出を求められた場合、健康診断を受ける準備を早めに行う必要があります。また、健康診断書の有効期限は3カ月と定まっていますので、健康診断書が手元にある人でも期限が切れていないかチェックするようにしてください。
ここでは、健康診断の受け方について説明します。
指定病院
健康診断を指定病院で受けるようにという指示を出す会社もあります。健康診断を受ける病院が指定されている場合、その病院に行って検診を受けることが一般的です。
指定病院のメリットは病院を探す手間がかからないことの他、病院側が会社の求めている検診項目を理解しているケースが大半といえることにあります。
自分で探す
健康診断を受けられる医療機関や保健所、検診センターを自分で探します。また、近隣の病院や行きつけの病院があるか確認してみても良いでしょう。
健康診断を受けられる機関を探すにあたり、以下について確認しておくことをおすすめします。
・予約の必要があるか
・費用
・結果が届くまでにどのくらいの日数がかかるか
健康診断書を会社が指定する日までに提出するためには、早めの行動が必要となることも多いです。
健康診断の費用
健康診断にかかる費用は5,000円から10,000円と幅広いです。項目や病院によって値段が異なります。また、ほとんどの健康診断では保険は適用されず、自由診療扱いとなります。
また、病院によっては健康診断にかかる費用とは別に、健康診断書の発行にお金がかかります。
健康診断における11の項目
転職希望者の健康診断の受診は労働安全衛生規則の43条で定められていますが、診断における必須項目についても定められています。
・既往歴、及び業務歴の調査
・自覚症状や他覚症状の有無
・身長、体重、腹囲、聴力、視力
・尿検査
・胸部エックス線検査
・血圧測定
・貧血検査
・肝機能検査
・心電図検査
・血中糖質検査
・血糖検査
上記の検査項目は労働安全衛生規則で定められている必須項目です。企業によっては必須項目の他にも、検診項目を指定してくるケースもあります。企業から検査項目について指示がある場合は、その指示に従うようにしてください。
また、健康診断を受ける際は、上記11項目に漏れがないか確認するようにしましょう。
健康診断を受ける病院として法定雇入時健診の受付を行っている病院を選択すれば、受診から必要書類の準備まで少ない負担で進められるはずです。
採用時における健康診断書の提出でよくある疑問3選
転職活動をしている人の中には、健康診断書の提出について疑問を抱えている人もいます。
ここでは、健康診断書に関わるよくある疑問について解説します。
健康診断書の結果で不採用になることはある?
企業は健康診断書を採用者の健康状態の管理を目的に提出を求めていることがほとんどです。大半の企業が採否を決定する上での一資料として提出を求めているわけではないと考えられます。そのため、健康診断の結果は採否に影響することはないと考えて良いでしょう。
また、労働省職業安定局は、「雇入時の健康診断は労働者の適正配置、入社後の健康管理を目的に実施することとし、採用選考時に実施することは義務付けていない。また、応募者の採否決定のために実施するものではない」といった趣旨のコメントを平成5年5月に各都道府県職業安定主管課長に出しています。
ただし、バスやタクシーの運転手のように健康状態が業務に大きく関わる職種においては健康状態も重視されます。
健康診断書の提出はパートやアルバイトでも求められる?
労働安全衛生規則によると、健康診断書の提出が入社前に必要な人とは「事業者が常時使用する労働者」とされています。常時使用する労働者とは臨時的に雇い入れた場合や欠員を補うことを目的に雇い入れた労働者を除く人たちのことです。
常時勤務する予定のアルバイトやパートが健康診断書の提出を求められることもありえます。
転職時の健康診断にかかる費用の負担は?
会社からの指示に従って受ける健康診断。その費用について、自腹なのか会社負担なのか考える人も多いと見受けられます。結論を先に述べると、法律では転職時の健康診断にかかる費用の負担をどちらが行うかまでは定められていません。
既に働いている社員の場合、健康診断の費用は会社が負担しますが、転職予定の人の健康診断にかかる費用は会社が負担しないというケースもあります。そのため、転職においては健康診断の費用を負担しなければならないこともあると考えておくと良いでしょう。
しかし、昭和47年9月18日に発行された「労働省労働基準局長通達」の602号には、「規定によって実施される健康診断の費用は事業者が負担する」と記述されています。そのため、転職時の健康診断の費用は企業が負担するケースも多いと考えられます。
まとめ
転職活動において提出を求められる健康診断書は、法的にも提出が定められている書類です。また、健康診断書は応募者の採否を検討する上で使用するのではなく、雇い入れた後に健康管理や配置の決定において役立てる企業がほとんどだと考えられます。
選考のプロセスの中で健康診断書の提出を求められた際は、会社に指示されている期日に間に合うよう迅速に準備を進めていくことが重要です。企業から診断を受ける病院に指定がない場合は、かかりつけの病院や自宅近くの病院に健康診断を受けられるか確認してみましょう。