【採用戦略】Uターン希望者を募る方法とメリット・デメリット

新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、全国の有効求人倍率は低下傾向にあります。しかし、東京都の0.86倍と比較すると、福井県1.84倍、富山県1.47倍と地方では依然として高水準です(2021年4月時点)。そのため、都市部よりも地方の人材確保が難しい状況といえます。

そこで地方の採用難打開策を考案する際に視野に入れたいのが、“Uターン採用”です。Uターン採用は都市部で働く人の「地元に帰りたい」「地元に帰らなければならない」というニーズと地方企業の採用ニーズがマッチすることを狙った採用戦略の一つです。

この記事では、企業側の視点から見るUターン採用のメリット・デメリットとUターン希望者を募る方法について解説します。

出典:厚生労働省『一般職業紹介状況(令和3年4月分)

目次

  1. 1.Uターン採用のメリット
    1. 1.1.①都市部とのつながりを持つ人材の確保
    2. 1.2.②新しいアイデアの創出
    3. 1.3.③技術・品質の向上
  2. 2.Uターン採用のデメリット
    1. 2.1.①人材を見つけることが難しい
    2. 2.2.②選考プロセスが応募者の負担になりやすい
    3. 2.3.③待遇面を課題とする転職者もいる
  3. 3.Uターン希望者を募る方法
    1. 3.1.地方企業向けの転職イベント・セミナーへの参加
    2. 3.2.リファラル採用
    3. 3.3.人材紹介サービスの利用
  4. 4.まとめ

Uターン採用のメリット

都市部で経験を積んだ人材を地方で採用するUターン採用により、企業側は3つのメリットを期待できます。

①都市部とのつながりを持つ人材の確保

Uターン採用のメリットの一つは、Uターン人材が持っている都市部の人脈やネットワークを自社に取り入れられる点です。

これまで外部との関わりを持たなかった地方企業が、都市部の企業と接点を持つことで事業の拡大につながる可能性も期待できます。

②新しいアイデアの創出

地方企業が外部の空気と触れ、新たな文化や考え方を取り入れることにより、社内の活性化を後押しします。

企業に新しい風土やノウハウを取り込めるため、アイデア創出や新商品の開発につながることも期待できます。

③技術・品質の向上

Uターン人材のなかには、都市部の大手企業から地方企業へ転職する人もいます。実際、UIJターン経験者のうち、大企業から中小企業への転職者は33.6%に上ります。

Uターン採用の活用により、大企業で活躍した管理職や技術職人材の知識・ノウハウを吸収することが可能です。都市部の企業で培ったUターン人材のスキルや経験を活かすことで、自社の技術・品質向上に役立てられます。

出典:中小企業庁『第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍

Uターン採用のデメリット

社内活性化や品質向上などが期待できるUターン採用にはデメリットもあります。ここでは、Uターン採用のデメリットを3つご紹介します。

①人材を見つけることが難しい

Uターン希望者に向けた求人情報の媒体は多数展開されているため、いずれか一つへの出稿ではターゲットに情報が届かない可能性があります。

ただし、多数出稿するとなると出稿費や管理するための人的コストがかさむリスクがあります。

媒体の選定、出稿、各応募者とのやり取りなどを効率化するには、Uターン希望者のデータベースを所有しているUターン人材紹介サービスを利用するというのも画期的な手段の一つです。

②選考プロセスが応募者の負担になりやすい

Uターン採用では、遠距離就活による交通費の負担もデメリットの一つとして挙げられます。地方面接に向かうための交通費を応募者が負担しなければならないケースでは、交通費の負担によって応募を諦めたり、辞退したりする人もいます。

応募者の金銭的な負担を軽減するために、交通費の企業負担を検討する、最終面接以外はWeb面接で行うなどの配慮が必要です。

③待遇面を課題とする転職者もいる

Uターン人材が転職において課題を感じる要素の一つが待遇面です。UIJターン転職の課題調査によれば、“賃金収入の低下・不安定化”を課題に感じたと回答した人は32.4%に上ります。

転職者の課題を払拭してUターン人材を確保していくには、待遇面の改善を視野に入れつつ、そのほかの点で都心部の企業と差別化を図ることが重要です。

たとえば、福利厚生の充実、出産や育児を両立できる仕組みづくり、引越しや家探しのサポート体制などが挙げられます。安心して働ける職場環境を提案し、地方企業で働く魅力を伝えることが欠かせません。

出典:中小企業庁『第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍

Uターン希望者を募る方法

地方企業の人材確保は都市部よりも難しく、求人広告を掲載するだけではUターン希望者と出会えないことがあります。

効率的にUターン人材を募るためには、採用の手法についても工夫が必要です。ここでは、Uターン希望者を効率的に募る方法をご紹介します。

地方企業向けの転職イベント・セミナーへの参加

Uターン希望者とリアルな接点をつくる方法の一つが、地方企業向けのイベント・セミナーに参加することです。都市部で開催されるイベントのほか、お盆や長期休暇を利用して地方で開催されるイベントもあります。

リファラル採用

リファラル採用とは、地元の友人や家族など、社員の紹介でUターン希望者を採用する手法です。すでに信頼関係のある人からの紹介のため、入社後のミスマッチが起きにくいといったメリットがあります。

人材紹介サービスの利用

地方転職向けの人材紹介サービスを利用するのも有効な手段の一つです。求人広告に応募がなく、Uターン希望者と接点を持てなかった地元企業でも、自社とマッチした人材と出会えます。都市部よりも採用の競争性が高い地方企業の人材採用に役立ちます。

全国にUIターン転職サービスを展開しているリージョナルキャリアに加盟し、地方に拠点を持つエンリージョンでは、豊富なデータベースから企業さまが求める人物像をもとに人材をピックアップします。Uターン希望者の経験やスキル、募集要件などとマッチする人材をご紹介するため、入社後のミスマッチも防ぎます。

まとめ

地方の有効求人倍率は都市部よりも高く、採用が難しくなっています。地方企業が人材を確保するための手段にUターン採用があります。

Uターン採用では、新たな風土やノウハウ、都市部の人脈・ネットワークの広がりなど、Uターン人材特有の特徴を生かした社内の活性化が期待できます。自社にマッチするUターン人材を見つける手法には、地方企業向けの転職イベントへの参加やリファラル採用などが有効です。

また、Uターン人材に特化した人材紹介サービスを利用することで、効率的に採用活動を進められます。採用難を実感している地方企業の人事担当者さまは、Uターン採用を視野に入れてみてはいかがでしょうか。